携帯電話

今日も最終か。ドリームランド行きの最終列車になんとか間に合った。いつもより長めに発車のベルが鳴り響き、汽車はゆっくりとレールの上を滑りだす。
ふとまわりの乗客に目を向けた。わたくしの体は即座に違和感を感じ取り、エマージェンシー態勢を要求してきた。
「一体何事だ!」
わたくしは叫んだ。
しかし、それを理解するまで一秒もかからなかった。乗客全員が携帯電話を操作している。ここでわたくしも彼らと同じように携帯電話をいぢりはじめようものなら、もう終わりだと思った。もし、わたくしも携帯電話を手にしたら、完全な携帯列車になってしまうからだ。
これが世に言う、皆同事変である。