吉野山3

小さな桜の精に免じて、吉野の食事どころでの嫌事は許そう〜と、また下山を始める。
まだおなかが満たされていないので、途中、界隈の名物のくずもちの試食に手を伸ばす。試食のふとっぱらな振る舞いに、早速、おもちを購入。緑の粉を口に塗り、「美味しい〜」と立ち食いなどしてみる。かすかな記憶をたどれば、山門など潜り抜けた気がする。

この後、私達は「ノック棒」に遭遇する事になる。歩いていると、急にトイレへ行きたくなり、或る喫茶店へ飛び込んだ。まっしぐらにそのトイレへ・・和式トイレのスタイルで用を足している時に、ふと?が浮かんだ。トイレの狭い空間に、先ほど視界の中に入った「ノック棒」なるもの・・「へんだなーーノック棒・・何に使うんだろ・・」と思っていると、すぐにそれが解明された。

トイレの外で「トントン」と誰かのノックの音。有無を言わさず、私の身体はそのノックに反応していた。そう、そのノック棒の出番であった。反射的に、その棒を手に取り、後方のドアに向かって、「トントン」と返事をした。ノック棒の使い方は、こうして判明した。
便利なもの・・汝の名は「ノック棒」。ちなみにノック棒の素材は、いわずもがな、桜であった。