今日の出来事

つげさんは、喫茶店の隅の席にちょこんと静かに座った。物静かな人であった。つげさんの体からは目には見えないオーラが発せられている。まるで、喧噪のさなか、その人がそこにいるだけで、周辺のすべてのものが柔らかなシルクに包まれるように、そして、穏やかで平和な心持ちになるようだった。
「アイスコーヒーをお願いします。」 つげさんは言った。

もう一度ガロで漫画を書いてほしい。編集長は、そう言いたかった。しかし、それを唐突に言うことができない。

つづく