カーテンをそっと開けると窓の外は雪景色。暗闇の中の積雪が街灯に照らされて、青い光を放っている。外の冷たい空気が伝わってきそうである。夢を見ているのだろうか。いや、これはいつか見た記憶である。そう確信した。それが証拠に目に入るすべてのものは、既に見覚えのあるものばかりである。


遠くに人山が見える。皆、旗を振っている。
御兄様は言いました。「行ってきます」と。
わたくしも一生懸命に旗を振りました。
御父様は言いました。「御国のためにがんばれ」と。


その直後、遠い山の向こうの空が真っ赤にひかりました。