最近のニュース

コムスン問題
赤字コムスン争奪戦、規模・将来性に魅力
2007年06月15日01時24分

 グッドウィル・グループ(GWG)が売却する介護事業の受け皿に、30社以上が名乗りを上げる見込みだ。しかし、介護事業は「宝の山」ではない。GWGの子会社で業界大手のコムスンですら、直近の中間決算では赤字に転落した。買収後の経営は容易ではないはずなのに、異業種も参入しての大争奪戦になった理由を分析する。

 ●効率化

 介護事業の経営難はコムスンだけの問題ではない。GWGが売却する予定の6社を一括で引き受ける方針を表明している業界最大手のニチイ学館や、大手のツクイも厳しい状況だ。

 ただ、買収によって経営規模を拡大すれば、「施設を使うデイサービスやグループホームで、スケールメリットを期待できる」(ツクイ)という。新たな利用者を取り込むことで既存施設の稼働率を向上させ、黒字の施設介護部門の利益をさらに膨らませて、訪問介護事業の赤字をカバーできるという計算だ。

 アナリストはさらに、「いったん規模を拡大した後に拠点の統廃合を進めれば、訪問介護も効率化できる」と、買収のメリットを指摘する。

 ●市場拡大

 介護保険を使った事業は、報酬が段階的に引き下げられていることもあって、大きな利益は期待できない。しかし、高齢化社会を迎え、市場が拡大することは確実。「利益率は低くても、続けることはできる事業」(ニチイ学館)で、ファミリーマートも関連分野での提携を打診するなど、異業種からも注目されている。

 買収で市場占有率を高め、将来の事業展開を優位に進めたい思惑も、買い手側にはありそうだ。

 また、介護業界2位のコムスンの買収劇によって、ニチイ学館が業界最大手から転落する可能性もある。リーディングカンパニーとなり、制度見直しなどに際して発言力を発揮したいと願う企業は少なくない。

 ●割安感

 GWGが売却予定の6社の保有資産は決算ベースで590億円。ただ、4社は債務超過の状態で、合計の純資産は35億円程度にとどまる。

 GWGの折口雅博会長は14日、取材に対して「売却額は純資産額を考えている」と述べた。しかし、市場では、将来の収益性についての明確な展望が描けていないことや、不祥事によるブランドイメージ低下もあり、「純資産額よりかなり割安で購入できる」(アナリスト)との見方もある。新規参入を目指す異業種組にとって、安価で経営資源をまるごと手に入れることのメリットは大きい。

 ただ、GWGは、昨年の人材派遣大手クリスタル買収などで借入金が増えており、「1円でも高く売りたいはず」(関係者)。売却予定の東京都内の老人マンションなどには、多額の含み益もあるとされ、買い手の思惑通り安値で交渉が進むかどうかは不透明だ。

     ◇

 〈キーワード:拡大する介護関連市場〉 厚生労働省が06年5月に示した見通しでは、施設介護と在宅介護を合わせた介護保険の利用者数は、06年の350万人が15年に490万人、25年には600万人に増大する。介護保険事業だけで現在6兆〜7兆円とされる市場規模は、重度介護者の比率の増加などもあって、25年には2倍以上に増加するという予測もある。

 介護保険を使わない関連ビジネスはさらに、この数倍の市場規模があるとされる。保険を使わないビジネスの市場も拡大が見込まれている。
http://www.asahi.com/special/070607/

□年金問題
社保庁職員動員し「臨時電話センター」 24時間対応
2007年06月15日23時24分

 年金保険料の納付記録を確認する電話相談が殺到してかかりにくくなっている問題で、社会保険庁は15日、東京都目黒区内に「臨時電話受付センター」を開設した。

センターには200のオペレーター席が設置され、24時間対応。業者には委託せず、全国の社会保険事務所から集めた500人の職員と社会保険労務士100人が、3交代で応答する。

 同日午後5時の業務開始と同時に、電話がひっきりなしに着信し、対応に追われた。職員らは言葉遣いや電話機の使い方などについて約1時間半の研修を受けたという。

 社会保険庁は従来行っていた電話料金がかかる相談(0570・05・1165)に加え、11日朝からフリーダイヤル(0120・657830)の24時間相談も始めたが、4日間で二つのダイヤルを合わせ140万件もの着信が殺到。5%程度しか電話を受けられない状態となっている。このため、同庁は電話応対席を11日の646席から来週末までに1586席に拡充する予定。

http://www.asahi.com/special/070529/

□最近、毒づく中国
中国製歯磨き粉から毒性物質 JTB商事など自主回収
2007年06月15日20時19分

 厚生労働省は15日、ホテルや旅館で使われる中国製歯磨き粉から、大量に飲むと健康被害の恐れがある毒性物質ジエチレングリコールが検出されたため、製造販売元が自主回収を始めたと発表した。今のところ、健康被害の報告はないという。

 検出されたのは、JTB商事(東京)などが中国で製造した「Cool・White」「Js’BEAU―FRE」「BEAU―FRE」の3製品。1個3〜5グラム入りの使い捨てタイプで、ジエチレングリコールが0.1〜5.9%含まれていた。出荷先は約1000カ所で、5月の出荷量は計約108万本。

 同省によると、ジエチレングリコールを短期間に大量に飲むと腎臓障害などを起こす可能性があるが、「歯磨き粉として数回使った程度では健康被害の恐れはまずない」という。国内の店頭で販売している歯磨き粉については、主要メーカー14社が調べた結果、検出されなかったという。

 米食品医薬品局(FDA)も今月から、ジエチレングリコール検出を理由に、中国製歯磨き粉の使用自粛を米国内で呼びかけている。
http://www.asahi.com/national/update/0615/TKY200706150393.html